USB2.0,USB3.0,USB-A,USB-TypeCなど様々な規格が存在するUSB規格。最近ではUSB3.2Gen1、Gen2、USB4.0、USBPDなどが登場し、年々複雑になってきています。中には同じ形状でも対応しているUSB規格が異なるなんてこともあります。そこで今回は、複雑なUSB規格を分かりやすく整理して、解説していきます。
USBの形状にはTypeAとTypeCがある。
パソコンなどの電子機器に搭載されているUSBにはTypeAとTypeCという2種類の形状があります。
USB-TypeA
USB-TypeAはパソコンで最も多く仕様されているUSBの形状です。長方形の形をして、上下の区別があります。USB2.0、USB3.0、3.1のバージョンに対応しています。
USB-TypeC
USB-TypeCは最近パソコンへの採用が増えてきた新しい形状です。TypeAよりもコンパクトで、丸みを帯びた形状をしています。そのためスマートフォンのような小型のデバイスへの搭載が進んでいます。また上下の区別がないリバーシブルな形状のため、より便利に扱えるようになりました。
その他、データ・動画の転送、最大100Wまでの電力給電が可能という特徴があります。USB3.1、USB3.2、Thunderbolt3、USB4.0のバージョンに対応しています。
ちなみに最大100Wの給電は後述するUSBPW に対応している必要があり、非対応の場合は最大15Wの給電になります。
USBの転送速度や機能はバージョンによって異なる。
USBの形状について説明しましたが、もう1つUSBのバージョンについても知っておく必要があります。1996年に発表されたUSB1.0から2019年3月4日に発表されたばかりのUSB4.0まで大きく分けて8種類存在します。以下では現在主流の4種類と最新のUSB4.0を転送速度の違いを中心に解説します。
USB3.0
2008年に登場した規格で、「SuperSpeed USB」と呼ばれています。その名の通り前世代のUSB2.0から約10倍も転送速度が高速化され、5Gbpsの転送速度を実現しています。
5Gbps という転送速度は1秒あたり625MBのデータを転送できることになりますが、USBを経由するときに8b/10bでエンコードされるので、20%程速度が低下して実際には約500MB/秒の速度になります。しかし、読み込み速度として遅いということは決してありません。
USB-TypeA、TypeBの形状に対応しています。
USB3.1
2013年に発表されました。USB3.1にはGen1とGen2という2つのバージョンが存在します。Gen1は転送速度の面ではUSB3.0と変わりませんが、新しい形状として「type-C」コネクタが追加されました。これにより最大100Wの給電と「双方向」の転送が可能になりました。
ここで注意したいのが最大100Wの給電はUSB PDという規格に対応している必要があることです。USBPDについては後で詳しく解説します。
Gen2は「Super Speed Plus USB」と呼ばれ最大10Gbpsの転送速度を実現しています。実質的にGen1 とUSB3.0は同じため、USB3.1 Gen2 は上位互換であり、USB3.1といえばGen2のことを指す場合が多いです。
転送速度以外の進化点としては8b/10bでのエンコードから128b / 132bエンコードに変更され、3%程度の速度低下に抑えられていることです。これによりGen1 の2倍以上にあたる1秒あたり1180MBのデータ転送が可能になっています。
Gen1、Gen2共にTypeA、B、Cのコネクターに対応しています。
USB3.2
2017年に発表され、Gen1×1・Gen1×2・Gen2×1・Gen2×2の4種類があります。しかし、Gen1×1はUSB3.0を、Gen2×1はUSB3.1Gen2を取り込んでいて実質的に同じです。なので、USB3.2で新たに加わったのはGen1×2とGen2×2になります。
Gen1×2、Gen2×2の「×2」というのはデータを伝達するレーンが2本あるという意味で同時に2本のレーンを利用してデータを転送できます。そのためGen1×2 、Gen2×2はそれぞれ2倍の10Gbps、20Gbps という転送速度を実現しています。
ただし、2レーンが同時利用可能なのはケーブルの両端がTypeCの場合のみで、その時のみ10Gbps、20Gbpsという転送速度になります。
2019年中に対応製品が出荷される予定です。
USB4.0
USB4.0は2019年3月4日に発表されたばかりの最新規格で、 最大40Gbpsの転送速度を達成できるとしています。これはインテルのThunderbolt3のテクノロジーに基づいていています。
詳細な仕様は2019年後半に発表されることになっていて、現状では以下のような特徴が判明しています。
- 既存のUSB-TypeCケーブルを使用した2レーン動作で、最大40Gbpsの転送速度を実現
- すべての帯域を効率的に使用するためのThunderbolt3プロトコル
- USB2.0,USB3.0, Thunderbolt3との互換性を維持
USB4.0はThunderbolt3の技術を取り込んでいるため、USBとThunderbolt3が統合されることになるでしょう。なのでUSB4.0の登場は乱立するUSB規格を解決してくれるかもしれません。
Thunderbolt3
USB4.0で出てきたThunderbolt3はUSB-TypeCのポート・ケーブルを使用して他の規格の信号を流すことができるAlternative Modeという仕組みを利用してデータを転送する規格です。要するにThunderbolt3はUSB-TypeCの一種ということになります。基本的にはUSBなので当たり前ですが、Thunderbolt3対応のポートはUSBを扱うことができ、USB3.1Gen2のデータ転送に対応しています。
しかし、Thunderbolt3はUSB3.1Gen2のデータ転送に加えて、DisplayPort、Thunderbolt3、最大40Gbpsのデータ転送にも対応しているのが通常のUSB-Type-Cとの大きな違いになります。
給電仕様のUSB-PD(パワーデリバリー)
USBには元々「バスパワー」という電源供給機能が備わっていて、USB3.0で4.5W、TypeCでは最大15Wでの給電が可能になっています。
USBにはさらに、電源供給の規格としてUSB PD(Power Delivery)が策定されています。最大100Wまでの電源供給が可能となっているため、専用のACアダプターを使用せずにノートパソコンを充電できます。
ただし、USB PDは拡張規格のためすべてのパソコンのポートやTypeCケーブルが対応しているとは限りません。ポートとケーブルがUSB PDに対応している必要があります。
まとめ
かなり複雑になっているUSB規格につい解説してみましたが、いかがだったでしょか。
USBは一般的に利用されているインターフェースですが、規格が複雑過ぎて、完全に理解できていなかったり、間違ったものも購入してしまう場合も多いです。この記事を参考にUSB規格に対する理解を深めてみてください。