現在、日本では2020年のサービス開始に向けて5G(第5世代移動通信システム)の整備が進んでいます。5Gは日本だけではなく、世界中から注目を集めていますが、これまでのモバイル通信システムが単に進化するということでけではなく、IoTやVR・ARのような様々な社会の変化に対応するための通信サービスとなるのです。
しかし、現在主流の4Gとあまり変わらないのでは?と考えている人も多いと思います。そこで、5Gとはどのような通信サービスなのか、どこのくらい高速化されるのか、どんな用途やサービスに使われ、生活にどのような変化をもたらすのかなど、解説していきます。
5Gは日本でいつから始まる?日本での現状と各キャリアの計画を解説 – WebHack
【最新状況】日本は5Gの活用で世界を先行 各キャリアの計画や企業・自治体との取り組みを解説 今後のロードマップも – WebHack
モバイル通信サービスの変革
まずは簡単に日本の通信サービスの移り変わりを見ていきましょう。
日本で携帯電話の通信サービスが開始されたのは1979年のことです。このときはアナログの通信方式で、この方式を1G(第一世代)と呼んでいました。1993年の2G(第二世代)からデジタル方式のモバイル通信サービスが開始され、携帯電話は音声だけではなく、メールやネットも利用できるようになりました。しかし、通信スピードは遅く、音声通話の品質も悪かったので、データ容量の多いリッチな情報を扱うことは出来ませんでした。
リッチな情報を扱えるようになったのは3Gの登場によってでした。3Gによって、データの大容量化・高速化が実現し、リッチなコンテンツが増え、スマートフォンなどの新しいデバイスも誕生しました。
その後4Gとその進化版であるLTEの登場で大容量化・高速化が急速に進み、動画、ゲームのような大容量コンテンツやスマートフォンが普及していきました。
5Gのとは何か
5Gは既存の4G(LTE)の後継技術であり、最大で100倍の通信速度を実現できるとしています。よりリッチなコンテンツを快適に利用できるようになるわけです。
しかし、5Gは単に4Gを高速化しただけのものではありません。5Gには「超高速」に加え、「超低遅延」、「同時多数接続」という特徴があります。
総務省によると5Gは最高10Gbpsの「超高速」(4Gの10倍)、1ミリ秒程度の「超低遅延」(4Gの10倍の精度)、1平方kmメートルあたり100万台の「同時多数接続」(4Gの30~40倍)という3つの特徴があるとしています。
たとえば「超高速」であれば、現在、ダウンロードするのに5分かかる2時間の映画が3秒でダウンロードできるようになります。
なぜ今、5Gが必要なのか
スマートフォンやタブレットのようなモバイル機器や動画など大容量データを扱うサービスの増加とIoT機器の増加によって、モバイル通信のトラフィック(通信回線を利用するデータ量)は急激に増加しています。
IDCによると、2020年のデータ通信量は2015年比で約7倍の44兆ギガバイト、2025年のデータ通信量は2016年比で約10倍の163兆ギガバイトになると予測されています。既存の通信技術ではこの通信量に対応することはできません。
IoT時代には、身のまわりのデバイスに加え、目に見えないセンサー等も含めると、数兆個の機器がインターネットに接続すると考えられ、ひとつのセル(アクセスポイント)が扱える機器のキャパシティも増やす必要があります。
既存の3G・4Gで接続できる端末数は約150億台です。これが2020年にはスマートフォンなどのモバイル端末だけで116億台になると予測されており、そこにIoT機器が接続されることを考慮すると、既存の技術ではあっという間に足りなくなってしまいます。 またVRやARといった次世代の技術を最大限に活かすのにも5Gは欠かせないのです。
そこで「超高速」「超低遅延」「同時多数接続」の5Gが必要になるのです。
5Gで変わる未来の生活
5Gの実現によって、どのような生活が実現するのか、いくつかのケースを説明しよう。
自動車
自動車分野では自動運転車への応用が最も期待されている。自動車が自律的に走行することに加え、周辺の信号機や周辺の自動車の走行情報、歩行者の位置情報を取得することで、さらに安全で正確な走行が可能にないます。さらに、様々なセンサーから得た情報を共有して、異常のある車を迅速に発見し、対応することができるのです。
典遠隔手術
医療分野では遠隔地から手術を行うことが可能になります。 たとえば、地方や離島などでも専門的で高度な手術を遠隔操作によって受けられるようになるのだ。5Gの「超高速」と「超低遅延」を使えば、手術ロボットから感触をリアルタイムで正確に医師に伝えることができます。
8k放送の実現
ドコモによると、現在の4G(LTE)では8k映像を最適な圧縮技術を用いたとしても伝送速度の関係から安定的に複数チャネルを伝送することは困難だとしています。そこで、5Gの特徴の1つでもある超高速・大容量を活用することで、合計1Gbpsが必要とされる8k映像を安定的に伝送できるようになるのです。
ARとVRの普及
VR・AR空間を構成するデータは2次元ではなく3次元データです。そのためスマホのコンテンツとは比較にならないほどデータ通信量が多く、現状の通信技術では容量不足や遅延が発生し、質の高い体験を提供することはできません。
5Gの大容量・超高速通信と超低遅延、を活用すれば質の高いVR・AR体験を提供できるのようになります。「5G抜きではVRとARは普及しない」と主張する専門家もいるほど、VR・ARにとって「5G」は重要な技術なのです。
5G実現実現への大手3大キャリアの取り組み
日本では5Gの通信サービスの提供を2020年に開始することを目標に各社が開発・整備をすすめています。
ドコモ
ドコモは 日本だけではなく、世界の主要ベンダと5Gの実験を協力しており、メーカー13社と個別の実験を行ったり、その他のベンダ-とも協力体制で実験開発を行っております。その中でも最も力を入れている部分は、周波数帯です。現在使用されている低い周波数帯と3GHz以降の高い周波数帯、そして100MHz~1GHZ以上の広い数周波数帯を活用した高速大容量通信の実験を行っています。
ソフトバンク
ソフトバンクは AIやIoT、スマートカーやVRなどの新技術やサービスに力を入れていて、CPUコアという組み込みチップを開発しているArm社と戦略提携をしています。その他にスマート化を見据えた自動運転技術を研究開発するホンダとの共同研究、VR事業の設立など5Gと関わる全てのサービスの研究を行っています。
au
auはJR東日本と提携して世界初の5Gと鉄道の連携テストの実証実験を行っています。これは、5Gの特徴でもある超高速・大容量、超低低遅延、同時多数接続がどのような形で社会に活かせるかという検証の先駆けでもあります。
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