Googleは現地時間3月19日にゲーム開発者イベントGDC2019でゲームストリーミングサービス「STADIA」(スタディアあるいはステイディア)を発表しました。Googleがゲーム?と疑問に思う人も多いでしょう。でも、これはゲーム業界大きく変える可能性をもっているんです。なぜならGoogleが持てる技術の粋を結集させて作りだしたからです。
そして6月に開催されたE3 2019では料金や、ゲームタイトルなどさらなる詳細が発表されました。
今回はそんな「STADIA」の詳細を解説していきます。
「Stadia」の前に、そもそもゲームのストリーミングってなに?
「STADIA」は簡単に一言表すと、ゲームのストリーミングサービスです。通常ゲームをプレイするときはプレイステーションやX Box、ゲーミングパソコンのようなハードウェアが必要です。でも、対応しているハードウェアを持っていなかったり、性能が足りないと、ゲームをプレイできないことがあります。そんなゲームプレイの足かせになることを解決できるのが ストリーミングゲームサービスです。
仕組みは、まず、ゲームのグラフィック処理などのほぼすべての処理をクラウドのサーバに任せます。そこで作られた映像を端末にストリーミングしてプレイを可能にするというものです。
こうすることで性能の高いハードウェアが必要など、ハード面での制約を取っ払い、様々な端末でゲームをプレイできるのです。
しかし、ストリーミングゲームサービスにはインターネットを介して映像を送信するため、どうしても遅延が発生してしまうという課題があります。
「Stadia」では低遅延のために、Googleが所有する7500以上のデータセンターを活用
Googleはそこを世界200カ国、7500箇所以上ある自前のデータセンターを活用して、解決しようとしています。このデーターセンターのおかげで、世界中の人々に高画質で、低遅延な映像を送信し、高いゲーム体験を提供できるのです。
このGoogleのデータセンターには「STADIA」向けにAMDと共同開発した独自GPUが採用されていて「PS4 Pro」と「X Box One X」の2つを合わせたものよりも高い10.7 teraflops という非常に高い処理能力を有しています。
「STADIA」 はGoogle Chrome上でプレイします。なのでWindows、Mac、Linux、ChromeOSなどを搭載したパソコン・タブレットはもちろん、 Googleのスマートフォン「Pixel」のアプリ、Chrome Cast Ultlaを挿せばテレビでもプレイできます。
ただ1つ注意が必要なのは、IOSは対象外ということです。IphoneやIpadではChromeを利用してもプレイできません。これはGoogleのゲームでスマホのシェアを取ろうという作戦かもしれません。
「Staida」は Youtubeと連携することで 新時代のゲーム体験をもたらす
STADIAのさらなる強みはYoutubeとの連携です。まず、Youtubeのプレイ動画の「PLAY NOW」というボタンをクリックして最速5秒でゲームを開始できます。この時、ゲームのダウンロードもインストールもアップデートも何もいりません。
さらに、パソコンでやっていたゲームをスマホそしてテレビというよにスムーズに移行できて、簡単にクロスプラットフォームを実現できてしまいます。
「Stadia Controller」で Youtubeへの配信も簡単にできる
STADIAには「Stadia Controller」という専用のコントローラーがあります。もちろん他のコントローラーでも使えますが、 Stadia Controller には2つの特徴があって1つがWi-Fiで直接データセンターに繋がること、もう1つはYoutube シェアボタンです。他の端末を介さないため、その分遅延を解消できます。
さらにYoutubeシェアボタンを押すと4K・HDR・60fpsでプレイ動画を簡単に配信できます。高画質で配信するためにこれまでのように、ゲームのパフォ-マンスを低下させたり、専用の端末を用意する必要が無いのです。
Youtubeで配信中のゲームに参加できる「Crowd Play」
「Crowd Play」はYoutubeで生配信中のゲームに視聴者が飛び入り参加できる機能です。動画を視聴中に「一緒に遊ぶ」ボタンを押すとその場ですぐにゲームに参加することができます。
Stadiaのユニークなシェア機能「State Share」
「State share」はゲームの中の特定のシチュエーションや瞬間をプレイヤーの設定もそのまま他の人が遊べる形でシェアできる機能です。
やり方も簡単で、ツイッターなどにリンクを貼るだけで、それをクリックした人は誰でもシェアされたゲームの特定のシチュエーションを遊んで体験することができます。
「Stadia」のプレイには4Kの場合、最低35Mbpsの帯域が必要
Googleによると、Stadiaを4Kでプレイするには35Mbpsのネットワーク速度が必要とのことです。
ただし、10Mbpsの通信速度があれば最低でも720pの解像度は保てます。
インターネット回線速度計測サービスSpeedtestを提供するOoklaによると、日本の平均通信速度(2018年10月)は、
モバイル通信の下りが29.11Mbps、上りが9.02Mbpsでした。
重要なのは下りの通信速度なので、29.11Mbpsとなると、多くの場合は4Kでのプレイは厳しいかもしれないです。光回線を引いて、高性能なWi-Fiルーターを導入する必要があるかもしれません。
ちなみに、ノルウェーは63.19Mbpsと世界一下りの通信速度が速いです。なのでノルウェーなら、かなり快適にStadiaをプレイできそうです。
一方で日本でも来年から「5G」が開始されるので、すぐにとはいかなくても、いずれは4K でのプレイも快適にできるようになるでしょう。
「Stadia」の料金プランと対応ゲーム
Stadiaを今年中にプレイするにはまず、 「Stadia Founder’s Edition」と呼ばれる130ドル(約14,000円)のスターターキット に登録すし、購入する必要があります。
あるいは「Stadia Founder’s Edition」を購入している人の友だちであれば遊ぶことができます。
そして「Stadia Founder’s Edition」には
- Stadia専用のWi-Fi対応のStadiaコントローラー(Night Blue)
- テレビにゲームをストリーミングする「Chromecast Ultra」
- ユーザーネームを最初に登録できる権利
- 「Destiny 2」のプレイ
- Stadia Proの3ヶ月利用権
が付与されます
「Destiny 2」 は現在PC、PS4、Xbox Oneで提供されていますが、PCとXbox OneのプレイデータはそのままStadiaの方へ引き継げます。PS4に関してはソニーと調整中とのことです。
期日は明確になっていませんが、2020年からは 無料の「Stadia Base」か月10ドル(約1,100円)の「Stadia Pro」 のどちらかのサブスクリプションに登録することで誰でも「Stadia」をプレイ可能になります。
無料の「Stadia Base」は「解像度1080p、60fps、ステレオサウンド」でのプレイになります。ゲームタイトルはストアーで購入してアカウントに保存しておくことができます。
月10ドル(約1,100円)の「Stadia Pro」は「解像度4K、60fps、HDR、5.1サラウンドサウンド 」 でのプレイが可能になっています。さらに、いくつかのゲームをディスカウント価格で購入できたり、月変わりの無料ゲームで遊ぶことができます。
対応ゲームタイトルは以下の通りです。
21のゲームパブリッシャー、31本のゲームタイトルが提供されます。
・ドラゴンボール ゼノバース2
・DOOM Eternal、DOOM 2016、Rage 2、The Elder Scrolls Online、Wolfenstein: Youngblood、
・Destiny 2
・Get Packed
・GRID、
・Metro Exodus
・Thumper
・Farming Simulator 19
・Baldur’s Gate 3
・Power Rangers: Battle for the Grid
・Football Manager
・Samurai Shodown
・Final Fantasy XV、Tomb Raider Definitive Edition、Rise of the Tomb Raider、Shadow of the Tomb Raider
・NBA 2K、Borderlands 3
・Gylt
・Mortal Kombat 11
・Darksiders Genesis
・Assassin’s Creed Odyssey、Just Dance 、Tom Clancy’s Ghost Recon Breakpoint 、Tom Clancy’s The Division 2 、Trials Rising、The Crew 2
上記以外にEAとカプコンもゲームタイトルを提供予定ですが、内容はまだ不明です。
すべてが同時に提供されるわけではなく、数ヶ月に渡り順次提供がされていくとのことです。
「Stadia」の利用開始時期と、日本への対応
「Stadia」は2019年11月からサービス開始になる予定です。ただし、最初のサービス提供国は14カ国で、アメリカ、イギリス、カナダ、アイルランド、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、オランダ、ベルギー、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、そしてフィンランド のみです。残念ながら日本は含まれていません。
それでも、2020年から対象国を拡大するとのことなので、日本への対応も十分に期待できます。1年程度の辛抱です。
まとめ
「STADIA」が普及していくかは未知数ですが、今回の発表がゲーム業界に大きなインパクトを与えたことは確かです。これを皮切りにハードに依存していたゲーム体験が大きく変わり、どのような新しいゲーム体験が生み出されるか楽しみです。
日本でも来年から遊べると思うので楽しみに待ちましょう。